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初めて従業員を雇う企業が押さえるべき手続き

公開日: 2026.09.24

従業員を一人でも雇えば、企業には労働条件の明示や保険手続き、勤怠管理、健康診断などの対応が必要になる。採用後に慌てないため、入社日から逆算して確認したい制度を整理した。

採用前に労働条件を書面で示す

企業は採用にあたり、契約期間、就業場所、業務内容、始業・終業時刻、休憩、休日、賃金、退職に関する条件を明らかにしなければならない。重要な労働条件は口頭ではなく、書面などで明示する必要がある。正社員に限らず、契約社員、パート、アルバイトも対象となる。

2024年4月からは、就業場所と業務について「変更の範囲」も明示事項に加わった。有期契約では、更新上限の有無と内容、無期転換を申し込める機会、転換後の労働条件など、契約の状況に応じた説明も必要になる。古いひな型を使っている企業は内容を見直したい。

労働条件通知書は、使用者が法定事項を明示するための書類である。一方、雇用契約書は企業と労働者の合意を記録する。二つの役割を一つの書類にまとめることはできるが、書類の名称や署名だけでは足りない。必要事項が記載されているかが重要になる。

労働保険は一人目から対象になる

労働保険は、労災保険と雇用保険の総称だ。一部の農林水産業を除き、労働者を一人でも雇う事業は原則として適用対象になる。正社員、パート、アルバイトといった呼び方だけで対象の可否は決まらない。

雇用を始めた時点で保険関係は成立し、事業主は原則10日以内に保険関係成立届を提出する。手続きが遅れても保険料の負担はなくならない。未手続きの期間に労働災害が起きた場合、経緯によっては給付費の全部または一部の納付を求められることもある。

雇用保険は、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用が見込まれる人が基本的な対象となる。労災保険はパートやアルバイトを含む労働者に広く適用され、保険料は事業主が負担する。それぞれの加入条件を分けて確認する必要がある。

社会保険は労働保険と別に判断する

健康保険と厚生年金保険は、労働保険とは別の制度だ。法人の事業所は原則として強制適用となり、条件を満たす従業員について資格取得の手続きが必要になる。事業所が新たに適用対象となった場合、新規適用届の提出期限は事実発生から5日以内とされている。

採用予算には給与だけでなく、企業が負担する社会保険料も織り込む必要がある。給与から本人負担分を正しく控除し、企業負担分と合わせて納付する。労働時間や契約内容を変更した際は、加入条件も改めて確認したい。

 

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賃金と労働時間は初日から記録する

地域別最低賃金は、雇用形態や呼び方にかかわらず、原則として都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用される。試用期間中やアルバイトであることだけを理由に、企業が独自に低い時給を設定することはできない。

法定労働時間を超えて、または法定休日に働かせる場合、企業は原則として36協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要がある。割増賃金の支払いも必要だ。協定を届け出ても残業時間の上限はなくならない。始業、終業、休憩を記録し、実際の労働時間を把握することが前提となる。

健康診断と就業規則も確認する

常時使用する労働者を雇い入れる際、事業者は原則として健康診断を実施する。採用後も通常は1年以内ごとに1回の定期健康診断が必要で、健康診断個人票は5年間保存する。業務内容によっては、より短い間隔での受診や追加検査が求められる。

一人目を採用しただけで就業規則の届出義務が生じるわけではない。ただ、常時10人以上を雇う事業場では、就業規則を作成し、過半数労働組合または労働者の過半数代表者の意見を聞いたうえで、労働基準監督署長に届け出なければならない。人数が少ないうちから休暇、勤怠、賃金、情報管理のルールを文書化しておけば、事業拡大にも対応しやすい。

外国人採用では在留資格も確認する

外国人を採用する場合は、在留カードや旅券を確認し、担当させる業務が在留資格で認められた活動の範囲内かを確かめる。雇用契約を結んだだけでは、資格外の就労は認められない。

事業主には、外国人の雇入れと離職を届け出る義務もある。「外交」「公用」の在留資格を持つ人と特別永住者は対象外だ。雇用保険の被保険者は資格取得届などを通じて報告し、雇入れ時の期限は翌月10日となる。被保険者でない場合は、専用の届出書を翌月末までに提出する。

手続きは入社日から逆算する

小規模な企業では、一人の担当者が契約、給与、保険を兼務することも珍しくない。入社日を起点に、労働条件通知書、労働保険、社会保険、外国人雇用の届出、健康診断を一つの予定表にまとめれば、期限と担当を確認しやすくなる。

採用コストを見積もる際は、給与に加えて企業負担の保険料や健康診断、事務手続きも考慮したい。採用後に対応を始めるのではなく、採用を決めた段階で必要な手続きと期限を洗い出すことが欠かせない。

主な公的資料

厚生労働省 人を雇うときのルール

厚生労働省 労働条件明示のルール変更

厚生労働省 労働保険の成立手続

日本年金機構 新規適用の手続

厚生労働省 外国人雇用状況の届出

厚生労働省 労働安全衛生規則

厚生労働省 最低賃金の適用される労働者の範囲

2026年9月14日現在。一般的な法務・労務情報であり、個別の事案に対する助言ではありません。

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